Ryohei Yamazaki ( B Dash Ventures )

(本稿は、私が資金調達のご相談を受けるファウンダーの方々に向けた解説として書いたものですが、内容について誰が/どのような場面で利用していただいても構いません。)

株主定例の目的とは?(シード期)

株主定例のアジェンダ例(シード期)

項目 内容 説明
1 マイルストーンと目標期限 ・当期ないし目標期限までのマイルストーンを記載する(OKRなど)
・中間マイルストーン(四半期毎の予算など)も明確化する 会議資料の冒頭にマイルストーンを記載することで、事業活動がどのような方向に向かって動いているのか認識ズレを起こさないようにする。
2 ハイライト 前月・当月の状況に関するハイライトを記述 経営状況をセルフレビューした上で、その主たるポイントと特に議論したい点を明示する。
3 計画と実績 ・前月の財務数値及びKPIの計画を実績と比較したFit & Gapの分析
・当月の見込値
・資金繰り状況、ランウェイ
(サマリーをメイン資料に記載して、さらに細かい財務数値/メトリクスはスプレッドシートへのリンクをつける) 計画の達成/未達成よりも、計画策定の前提としたコンディションとの違いを把握し、事業の前提条件やリソース運用方針の見直しを行うべきかどうかという判断が最重要ポイント。この点について投資家と有益なディスカッションができることを期待したい。
4 顧客の状況 ビジネスモデルの特性に応じて、マーケティング/セールス/CS等の状況を分析 例えばSaaSであればファネル分析、コホート分析、パイプライン評価と売上予測、チャーン要因分析など。
5 開発の状況 開発ロードマップとその進捗状況 モジュール開発と戦略ステップがリンクして把握できるような内容が望ましい。
6 組織の状況 ・人員計画と採用進捗状況(ファネル)とのFit & Gap分析
・その他組織課題の有無 シード期は採用が困難なだけに、最適な採用チャネルを発見するための試行錯誤が重要。投資家側に知見があることも多い。
7 ディスカッション 重要な状況変化、方針変更があればディスカッション時間を設ける 経営者としては分析を行い打ち手を打っている状態と思われるため(投資家との相談が必要であれば定例会を待たずに相談しているはず)、議論して決定するということではなく、分析・判断のプロセスを共有して方向性に関する理解を得るという姿勢で良い。また重要なトピックスがなければ無理に議題を出す必要はない。

参考:

分析系は最初から気負って作り込んでいくよりも、定例を重ねながら投資家とステップバイステップで最適解を模索していくのが良いと思います。

メトリクスのデータセットは細かく見られるよう、スプレッドシートにまとめて投資家に共有しておきましょう。